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3月 12, 2025の投稿を表示しています

学術行政にかかわる内閣府の暴走を許すべきではない―日本学術会議法案の廃案を求める声明―

学術行政にかかわる内閣府の暴走を許すべきではない ―日本学術会議法案の廃案を求める声明― 大学横断ネット (「稼げる大学」法の廃止を求める大学横断ネットワーク)   石破内閣は、今年3月 7 日、日本学術会議(以下、学術会議)の特殊法人化を骨子とする法案(以下、新法案)を閣議決定し、国会に提出する方針を示しました。わたしたち大学横断ネットは、以下のような理由でこの法案に反対し、廃案とすることを求めます。   第一に、日本の学術政策にかかわる意思決定のあり方をこれまで以上に非民主化し、政権与党の暴走への歯止めをなくすこと。 第二次安倍政権は、内閣府に設置された総合科学技術・イノベーション会議(以下、 CSTI )に対して段階的に学術政策にかかわる強大な権限を付与してきました。首相を議長として、主要閣僚 6 名と首相が任用する「有識者」 7 名を議員とする CSTI において、ただひとり「関係機関の長」という資格で議員に名を連ねる学術会議会長は、学術界を代表して学術行政への意見を述べ、民主政治に不可欠なチェック・アンド・バランス機能を働かせる責務と権能を負った存在です。権力の分立のためには、学術会議が学術的観点から内閣府という執行権力の働きを監視し、必要に応じて勧告することこそ重要であるにもかかわらず、新法案では首相が任命する監事や内閣府に設置する評価委員会を通じて、内閣府が学術会議を監視し評価する仕組みを強化しています。現在は学術会議会員候補者の首相への推薦手続きのみを内閣府令で定めていますが、新法案では活動計画、実績報告、財務諸表作成など内閣府令で定めるべき事項を大幅に拡大しています。日本のような議員内閣制の国で内閣府の権限強化は、「政治主導」の名のもとに行政を政権与党の意向に従属させ、それぞれの省庁に蓄積された官僚の専門性をないがしろにし、議会の役割をおとしめ、執行権力独裁化への道を開くものと評せざるをえません。 第二に、大学を「イノベーション」の道具としようとする CSTI の政策と相まって、日本の学術全体を産業界の要求する近視眼的利益に従属させること。 学術会議にかかわる新法案が研究を通じた「イノベーション」の創出、すなわち「研究成果の活用」を重視していることは、たとえば評価委員の資格として「産業若しくは国民生活に...