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河野発言には次のような問題点があります。
第1に、日本学術会議の「軍事的安全保障研究に関する声明」(2017年3月24日)は「研究の入り口で研究資金の出所等に関する慎重な判断が求められる」として資金の出所に注意を促したのに対して、あたかも軍事転用できる民間研究をすべて禁じているかのように語っていることです。
第2に、科学研究費の審査・配分を担当するのは、文部科学省所管の独立行政法人日本学術振興会であるにもかわらず日本学術会議であるかのように語り、科研費の配分をめぐる問題も日本学術会議バッシングにつなげていることです。
第3に、このふたつの点を混同して語りながら、科学研究費の所管官庁の変更により、大学単位で配分の対象とする大学とそうではない大学を区別すべきだと語っていることです。
現在、国会で審議中の国際卓越研究大学法案(「稼げる大学」法案)では基盤的経費(運営費交付金等)に匹敵する巨額の金額を「政治主導」で特定の大学にだけ配分する体制を整えようとしています。すでに日本学術振興会特別研究員と似たような制度(次世代研究者挑戦的プログラム)を設けて「政治主導」で特定の大学の特定の研究領域の大学院生だけ修学を支援する体制をつくっています。いずれの体制でも、これまで研究助成事業の中核を担っていた日本学術振興会は研究計画・事業計画の評価・審査から外されています。
すでに衆議院を通過してしまった経済安全保障法案の趣旨と国際卓越研究大学法案を組み合わせると、「防衛省の予算で研究しませんという大学は、科研費全部使えないよ」という体制がもうすぐそこに迫っていることがわかります。
私たちが取り組んでいる国際卓越研究大学法案の廃案を求める署名にご賛同ください。
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「日曜報道ザ・プライム」(2022年4月17日放映、フジテレビ系列、7:30~8:55)の8:00~8:08までの文字起こしです。画面右上にあるテロップを見出しとしました。
「軍事研究にNO」科学技術関係予算とは
梅津弥英子(フジテレビアナウンサー)
科学技術関係の予算を見ていきます。こちらですね。およそ4.2兆円あるんですが、このうち防衛省の研究開発費はどこかというと、この部分、1600億円、この規模感になるわけです。文科省を始めとしまして、ほかの省庁の科学技術予算を持ってしても、軍事及び軍民両用の研究をすることは困難だということです。元国家安全保障局次長の兼原氏によりますと、学術界が軍民両用の技術研究に反対をしているためだ、ということです。
松山俊行(フジテレビ政治部長・解説委員)
まさに国の安全保障政策のど真ん中にいた兼原さんがこう指摘しているわけですけれども、そうした軍事的な研究というのが日本ではずっとタブー視されていたという歴史があったと思います。このあたりを今後どういうふうに捉えていくべきなのか。このあたりは河野さん、どう……
河野太郎(自民党広報本部長)
あの、学術界と言っていますけれども、具体的には日本学術会議です。日本学術会議が、防衛省の予算で研究することはまかりならぬということを言っているので、大学の中にはそれを良いことに「防衛省とは研究しません」と言って、まあ、考えるのが面倒くさいから。大学の中には、いやいや、これは日本のために必要なんだから、そこは当然やりますよと言って、防衛省の予算を使った研究をやってくれているところもあります。
私、防衛大臣だった時に、こういう問題があったので、今文科省が出している科研費を全部文科省と防衛省の共管にしてくれと、別に防衛省は配分には口を出さないけれども、共管にしてくれ、だから学術会議の言うとおり防衛省の予算で研究しませんという大学は、科研費全部使えないよ、と、自分でカネ集めてやってください、とそういうふうにすべきじゃないか、ということを言って、文科省が「いやいや……」という感じではありましたけれども。かつては軍事研究が民間転用されたという時代があって、まあ、インターネットとかGPSがその代表的なものですが、最近は民間の技術を防衛のために、安全保障のために転用するというものも増えてきていますから、ここの境目というものはもうだんだんなくなってきている、現実にはないのだと思います。そういう中で、学術会議がこんなことを言い続けているようならば、それはもう、科研費というのは、文科省・防衛省共通のものです、或いはもうすべての省庁が共管をして、その配分だけ各省に任せるんです、ということをやらなければいけないんだろうと思います。
橋下徹(レギュラーコメンテーター)
大学教授のほうも、学問の自由があるので、どう考えるのか、自由で良いと思うんです。自分たちの活動においては。でも、日本の安全保障ということを考えるのは、これは一人一人の学者じゃなくて、やはり最後は政治家だと思うんですね。日本学術会議が、それほど学術界において力を持って、日本の安全保障について、軍事研究に関して禁止だって言えば学術界が全然研究できないような、そういう組織なのであれば、僕はこの組織の人事について、やはり政治が関与する必要がある。推薦は学術会議からされても、最後任命拒否するかどうかというのは、これはしっかり政治がやるべきだと思うんですけれども。
科学技術予算「“軍事研究”禁ずるな」
河野太郎(自民党広報本部長)
そこまで踏み込むということもあるかもしれませんけれども、私はもうその前の段階で、全部一緒ですと、科研費は防衛省も文科省も経産省も全部共管をしていますと、いやな人は科研費に手を出さないで自分のカネで研究してください、ということをまずやる。そうすれば、今大学が「学術会議がこう言っていますから」ということを言い訳にできなくなりますから、それじゃやります、ということにまずなるんだと思います。それから、これは研究だけでなくてですね、例えば日本の企業の中で、防衛省の色々なお願いには「お断わりします」と言って断わっている企業があるんですね。
科学技術予算と日本の軍事研究の課題
松山俊行(フジテレビ政治部長・解説委員)
それは、あんまり利益にならないから……
河野太郎(自民党広報本部長)
いや、あの、色々な兵器の開発に「おたくの部品を使わせてください」と言った時に「ウチはいやです」というところがあって、国内に性能の良いものがあるにもかかわらず、海外の性能の劣るものを使わざるをえなくなっているというものがありますんで。そういうことについてもやはり、政府が産業界に、日本の安全保障ということを考えた時に、やはり協力をしてほしいということを、もう少しオープンに言ったほうが良いんではないかなと思うんです。
衰退する日本の防衛産業 強化の策は
橋下徹(レギュラーコメンテーター)
河野さん、ここもなんですけどね、結局日本で安全保障の技術をきちっと確立していくためには、企業に頑張ってもらわなければいけない。企業がですね、国内市場だけ、国内だけのマーケットだけではやっていけない、となれば、日本で作ったその技術を海外に売って行く必要があると思うんですよ。そうすると、日本は、これは調達率ですけれども、
松山俊行(フジテレビ政治部長・解説委員)
防衛装備の移転3原則……
橋下徹(レギュラーコメンテーター)
防衛装備の移転なんですけれども、海外に売ろうと思っても売れない、これもまた憲法9条の問題にぶつかってくるわけで、すべてここにぶつかってくると思うんですけれどもね。
河野太郎(自民党広報本部長)
今、防衛省も一緒になって、例えばレーダーとかですね、或いはフリゲート艦を海外へ売っていこう、ということを、防衛省が企業と一緒になって今やっています。少しずつ、成果は出てきているわけですけれども、どこまでそれをやるのか、ということを、やはり橋下さんおっしゃるように、我々もう少し真剣に考えていかないと、なかなか利益が出ません、或いは売り上げもそんなに多くないです、その中で自衛隊・防衛省に協力をしてくださいと言っても、やはり日本の企業にも限界があると思いますので、これからの防衛装備、どう調達するのか、全部海外に依存するというわけにも当然行きませんし、日本としてやはり最先端の技術を持っているということは安全保障上も重要だと思いますので……
松山俊行(フジテレビ政治部長・解説委員)
武器輸出3原則のさらなる緩和みたいなことも視野に入れて議論していくという……
河野太郎(自民党広報本部長)
そこ(武器輸出三原則のさらなる緩和)は考えていかなければいけないと思います。ただし、その時に使途に制約を設けるのか、いやいやそれでは買ってくれないから、どうするのか、その辺の議論はする必要があると思いますが、今のままでは防衛産業も立ち行かなくなりますし。それからもう1つは、補正予算が付くと、補正予算でがんと調達するということをやっているんですけれども、当初予算で調達することができないと、受注する企業は安定した受注が来ないもんですから、ラインを組めない。ラインを組んでやらないと、補正予算のたびに突発的に対応すると、コストも高くなる、技術もなかなか保持できない、ということになりますんで、そういうところまで含めて改善をしなければならない部分というのは、かなりたくさんあるのが現実です。
「防衛装備移転の三原則 緩和の議論を」
橋下徹(レギュラーコメンテーター)
結局、防衛産業を育成しなければいけないというところで、今までの日本のやり方は予算をつけてという、いわゆる計画経済的なところが多かったと思うんですけれども、やはり民間企業が自分たちで売っていく、海外にも売っていく、そのためにも憲法9条問題というものを乗り越えてもらいたいし、河野さん言われるように、予算を防衛省が共管するというところも重要だと思うんですが、これ、岸田政権がやれるかどうかというところを考えれば、法律上、今、日本学術会議の会員メンバー任命権を法律上内閣は持っていますから、ぜひこれを行使してでも、日本の防衛力というところを、学術界のほうにもこれをわかってもらうような政治行政をやってもらいたいですけれどもね。
河野太郎(自民党広報本部長)
そこは、日本の安全保障をどう考えるのか、というのは、これはもう研究者も、我が国のことですから真剣に考えてもらわないと……。
松山俊行(フジテレビ政治部長・解説委員)
まさにウクライナ情勢を受けて、東アジアの安全保障環境も劇的に変わっているわけで、そのあたりについてもこのあと議論していきたいと思います。
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