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記者会見用資料に賛同者からのメッセージを抄録させていただきました!

昨日、文科省記者クラブにおいて稼げる大学法案(国際卓越研究大学関連法案)の廃案を求める声明を発表するとともに、賛同者からのメッセージを抄録した資料を配付しました。記者会見については、現在確認できているところ、次のような報道がなされています。

・大学ファンド制度「大学間の分断作る」 教職員グループが反対 毎日新聞 2022/4/6 20:16(最終更新 4/6 20:16) https://mainichi.jp/articles/20220406/k00/00m/040/256000c ・政府の大学ファンド計画「学問の自由失う」 北大准教授らが声明 04/06 23:39 更新 北海道新聞 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/666517 

記者会見資料はコチラ↓からダウンロードできます。https://drive.google.com/file/d/10SJhgUD7eZjU8UNvvVr37G4uL0ztZ0Eg/view?usp=sharing

以下は記者会見資料に抄録させていただいたメッセージです。ほかにもたくさんすばらしいメッセージをいただいていたのですが、さまざまな立場からの多様な意見のあることを伝えることを主眼に選ばせていただきました。ご了解ください。

学生・大学院生の声

  • 「稼げる大学」法案からは、国際的な経済・研究発展を言い訳にして、政府・財界に寄与できない大学を「役に立たない大学」とし、そのもとに所属する学生の教育機会が損なわれることなど微塵も考えていないことがはっきりと伝わってきます。本来、学問は社会に還元されるものとしてありますが、この法案は学問研究の役割を目先的な経済的利益へと狭めるものです。また、大学方針を決定する機関に学生は含まれていないことも問題です。学費増額など私たち学生に直接関わる事項が勝手に決められかねません。法案廃案はもちろんのこと「安心・安全に学問・研究に取り組める環境」をつくるため、大学自治について真剣に考えていくことを呼びかけます。(ハラスメント防止学生団体EquAll)
  • 安くない授業料を払っていてもステークホルダーである学生の意見は露ほども聞き入れられず、聞き入れられるのは学外の企業家の意見ばかり。京都大学では安価な学生寮が消滅の危機に瀕しており、つい先日には学内診療所も閉鎖されました。若者が高いお金を払ってもそのお金は若者に還元されず、一体何に使われているのでしょうか。学生の福利厚生とか学ぶ権利ってコストカットを理由にすればこんなにも簡単に踏みにじられていいものでしたっけ。(石川慧・京都大学 学生)
  • この法案が成立することで、大学も学問の総合的な発展よりも目先の利益を優先することになります。学生にとって学問を学ぶ目的が歪められるだけでなく、大学が目先の利益を注視することにより、教授からのハラスメントや指導放置などの学問追究を行う大学環境を壊す問題が助長されるのではないかと思います。大学の一構成員である学生としても、断じて許してはなりません。(藍沢雄貴・東北大学学生、ハラスメント防止学生団体EquAll所属)
  • 大学において私たち学生の自治が失われてしまう非常におかしい法案です。学問研究を「稼ぐ」ためのものではなく、社会の発展に寄与するものとして奪還するために廃案に賛同します。(川村松吉・東北大学 学生 (ハラスメント防止学生団体EquAll所属))
  • 大学の自治・学問の自由は、私たち学生が守るべきことだと考えます。全国で声をあげましょう。(川田南歩・高知大学学生)
  • 稼げるか否か、生産性や効率の物差しで測れない「不要なもの」や「役に立たない」とされるもの、生きた化石のようなものたちの豊かさの最後の砦が教養であり、大学であるべきだと思います。(松村美里・慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程)

市民の声

  • 「稼げる大学」法案は、大学を利潤追求原理の下で再編し、また、政府・財界の意向の下で運営させる組織へと変貌させ、大学自治を破壊する危険なものです。大学は、真理探究の場であり、そのためには大学の自治が保障されなければなりません。法案の危険性を社会に訴えていきましょう。(指宿昭一・弁護士)
  • 大学の研究、学びは自由なものである。企業や政治に優先され左右されるものであっては本来の学問の自由が損なわれる。それは過去日本が過ちを犯した歴史に繋がる。(央康子・主婦)
  • 大学に市場原理を導入することは、短期的にはその死を招きます。そして長期的には国力の低下を招き、文化を破壊することになると考えます。絶対反対です。(福冨惠子・(株)フィールズオブグラフィック役員)
  • 大学で学ぶ学問や知識は、利潤追求の道具ではなく、社会に還元され、人々の生活や暮らしに役立てるべきものです。なぜ一部の支配層のために学問や知識が利用されなければいけないのか、そんなことのために大学に通っていたのではありません。この法案は大学、そして学生を支配者たちがどう見ているかを端的に表していると思います。(松田成美・神戸市外国語大学卒業生・介護職)

大学教員・元大学教員の声

  • 日本の大学制度が政府の思惑で、いよいよめちゃくちゃになっていくことに強い怒りを持っています。(池内了・総合研究大学院大学名誉教授)
  • 富士山も学問も裾野が広いから、高く立派にそびえ立つことができると思います。「稼げる大学」は、多様で多彩な知見と知性が生まれ揺藍される大学や学問の自由を掘り崩してしまいます。(水谷利亮・下関市立大学教授)
  • 若く豊かな才能を専門的学術研究から遠ざける「選択と集中」政策は、過去20年間我が国の学術・科学技術研究を衰退させてきた。その上塗りである本法案に反対します。発見の予測可能性という間違った科学観に基づいて、真の革新的発見とイノベーションを妨げているCSTI(内閣府総合科学技術・イノベーション会議)の解体を求めます。(鬼界彰夫・筑波大学名誉教授)
  • 基礎研究・哲学・文学・芸術などが無駄なものとされる社会に未来はありません。(永田美喜子・法政大学兼任講師)
  • この法案は、政府や経済界の考える産業・経済の利益のために、大学における教育研究を直接に役立てようとするものです。政府は分かりやすく即効性のある経済的効果を期待していると思いますが、これでは人類的福利の増進を目指して大学が担うべき基礎研究と、価値観や知識技能の多面的な発達を促すべき高等教育を衰退させかねません。この法案は、これまでの高等教育・科学技術政策の失敗を繰り返し、さらに大きな問題を引き起こしかねないものであると考えます。(中嶋哲彦・名古屋大学名誉教授)
  • すでに選択と集中による大学政策が失敗していることは明らかです。授業料の値上げ、奨学金という名の学生ローン、任期付き雇用、競争的資金の獲得。これらすべてを経験した者として述べるならば、不安定な教育研究状況がずっと続いているというのが実感です。将来設計が描けない現状は研究にとっても教育にとっても悪影響しかありません。選択と集中による教育研究は不要です。(松永典子・早稲田大学教員)

匿名希望の声

  • 大学教員が「授業という名の商品をなるべく安価に製造させるための労働力」とみなされつつあるだけでなく、人件費削減のための「事務員の代替物たりうる労働力」としても「最大限活用」されようとしている状況をひしひしと感じます。今後、研究・教育ともに日本の大学の質は下がる一方ではないかと思います。(匿名希望)
  • 稼げる項目の有為転変は非常にスピードが速く、新たに稼げるようになった分野に対応するようにするには事前にそれらを含んだあらゆる分野が充分に発展していなければ不可能である。新たに稼げるようになるなった分野ができてから、その分野を育てようとしても、分野育成には20年以上かかり分野が育てられた時点で既に該当分野が稼げない分野になってしまう。それを防ぐためにはあらゆる分野を均等に育成しなければならない。(匿名希望)
  • 今、稼げる大学を目指すための予算配分をするJSTやAMEDへの報告書と提案書に時間をとられ苦しんでいます。企業がメインに入って研究者を使うような形でしか予算が配分されず、大学の研究者の研究をしたいという純粋な気持ちを踏み躙っているとしか思えません。ますます基礎研究はできなくなると思われます。また企業の論理で人員配置が決まるため、その企業が女性蔑視企業である場合、純粋な研究者としてというより、「誰にお金を配ると企業が得をするか」という論理で女性研究者の研究アイディアが、無料で搾取されたりします。その結果、通常研究者なら知っているべき研究倫理が守られず、研究倫理違反も生じています。さらに、阪大はクロスアポイントで女性研究者数を水増ししていますが、保育園枠を企業出身の女性に奪われ、企業の女性にポジションも奪われ大学本来が目指すべきダイバーシティは達成できない事態になりつつあります。これも企業論理で大学が運営されている結果です。企業は企業の利益を目指しますから、大学が自分を守る能力ないまま、稼げる大学をめざしなくなるのはこれまで培ってきた研究基盤ではないかと思われます。これ以上稼げる大学を目指すのは危険です。企業論理を大学に持ち込んではいけないと思います。(匿名希望)
(メッセージ・お名前の掲載にあたっては署名時に公表可としたものに限っています。ですが、もしもやはり掲載はさしとめてほしいということがありましたら、trans.university.network@gmail.comまでごご連絡ください)

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