「だまし討ち」の大学政策にNo!学外者による大学支配を貫徹させる方針の撤回を求めます!
政府与党による近年の大学政策は、立法にかかわる手続きひとつをとってもあまりにも強引で矛盾だらけ、「だまし討ち」的な様相を強めています。今年3月7日、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)有識者議員懇談会においてさらに驚くべき方針が発表されました。
「国際卓越研究大学に求められるガバナンス体制の方向性について」(2024年3月7日)と題する文書において、国際卓越研究大学認定を目指す大学について、国立大学の場合には重要な方針を決定する際には運営方針会議における学外委員の賛同を必ず必要とする方針を示し、省令等においてこの方針を具体化すると記しています。この点について、「世界トップレベルの研究力、国立大の「卓越大」認定要件に「学外委員の賛同」求める方針…文科省」(『読売新聞』2024年3月7日付)とも報道されています。
2022年5月、政府与党が国際卓越研究大学にかかわる法案を強引に成立させた際、認定された大学に最高意思決定機関としての合議体を設置させ、その審議経過で合議体の「過半数、または半数以上を学外者とする」方針を明らかにしました。ですが、法文上では附則で言及するに止めて明確に規定しませんでした。まず毎年数百億円という触れ込みの大学ファンドの運用益という「饅頭」に食いつかせて、学外者優位の体制を構築させる「毒」をそこに忍び込ませる方式でした。
この「毒饅頭」方式に対して世論の批判が高まった上に、大学ファンドの運用が膨大な赤字を出して「饅頭」の皮を思うように調達できなかったため、「毒饅頭」試食の対象を東北大学1校に限定しました。
ところが、昨年10月になって国立大学法人法「改正」案を国会に提出し、東北大学以外の4国立大学法人(東京大学、東海国立大学機構(名古屋大学、岐阜大学)、京都大学、大阪大学)にも「運営方針会議」の設置を義務づけ、予算・決算の決定、中期目標の原案・中期計画の決定という強大な権限を与える方針をあきらかにしました。もはや「饅頭」の見かけには関係なく、無理矢理にでも「毒」を飲ませようとする姿勢を明確にしたことになります。
国会での審議過程でこの法案の策定過程にかかわる公文書が残っていず、法改正を必要とする立法事実が定かではないことが露わとなりました。野党議員の追及でわずかに解明された事実は、2022年5月の段階で法案の原案が作成されたことです。この時期には国際卓越研究大学の認定候補はまだ絞りこまれず、大学側がガバナンス改革を「自発的」に行わなければ大学ファンド運用益にはあずかれないと喧伝されていました。その傍らで、認定のいかんにかかわらず特定の大規模大学に「毒」を盛る方針をこっそりと固めていたわけです。このような「だまし討ち」的な対応への疑問は国会審議でも追及されましたが、臨時国会の会期末を目前に高橋克法参議院文教科学委員長(自民党)が委員長職権で委員会を開催して強行採決しました。
そして今年3月、運営方針会議にかならず学外委員を含め、学外委員の賛同を得られなければ重要事項を決定できないとする方針を打ち出しました。昨年の法案審議では運営方針委員の任命に文科大臣の承認を必要とすることが問題とされましたが、具体的な人選については特に規定しない、大学側の判断に任せるという趣旨の答弁がなされていました。それにもかかわらず、学外委員にいわば「拒否権」を認める方針を今頃になって打ち出したわけです。
特定の学外委員に拒否権を認めることは、決めるべきことを決められない「ガバナンス崩壊」を引き起こします。例えば、国連の安全保障理事会においてアメリカ、ロシアなどの大国が拒否権を行使するために「即時停戦決議」のように今すぐに決めるべきことを決められない事態を思い浮かべてもよいでしょう。運営方針会議は、実質的に学外委員の意向にお墨付きを与えるだけの機関となります。しかも、形式的には「合議体」ですので、たとえその方針が大学に不利益をもたらしたとしても、学外委員は個人としての経営責任を問われにくい仕組みとなっています。
政府与党は新たな方針を打ち出す前に、昨年末の国立大学法人法「改正」案の策定過程にかかわる公文書を国会に提出し、立法事実を明確化にすべきです。裏金問題や統一教会との癒着問題で責任ある対応をできず、すでに事実上の「ガバナンス崩壊」をきたしている政府与党が、その崩壊のまっただ中に大学を巻き込み、私物化しようとする事態をなんとか食い止めなくてはなりません。省令等による重大な方針変更を認めてしまうことは、大学の未来をあきらめることになるばかりではなく、民主主義をあきらめることにもつながります。
「だまし討ち」の大学政策にNo!学外者による大学支配を貫徹させる方針の撤回を求めます。
政府与党は、このあまりにも重大な方針変更を法改正ではなく、国会での議決を要しない省令等の手段でひっそり、いつの間にか実現しようとしています。だからこそ、この重要な変更に着目し、新たな方針案は大学関係者に対する「だまし討ち」であるばかりではなく、国会への冒とくであり、ひいては民主的な意思決定を根底から否定するものだという声を広げていく必要があります。
【詳細解説】
そもそも運営方針会議は、大学の組織運営の自治を否定し、学問の自由を脅かす制度であることから、私たちは、特定の国立大学法人に対してこの組織の設置を義務づける国立大学法人法の「改正」に反対してきた。今回の運営方針会議に関する認定要件の方針は、もともと有害な制度である運営方針会議をさらに悪質にするものであり、到底認めることはできない。
1. 国立大学法人法に盛られた“毒”―運営方針会議制度
運営方針会議とは、2023年12月の国立大学法人法「改正」(実際は改悪)により、「特に規模が大きい」とされる国立大学法人(「特定国立大学法人」)に対して設置することとされた、大学が作成する中期目標の原案(「中期目標への意見」)、中期計画、予算・決算(「運営方針事項」)の議決権を持つ合議体である。運営方針事項の決定権を持つだけでなく、学長が決定に従って業務を執行しているかを監督し、改善を求めたり、学長選考に関して意見を述べ、学長解任の発議をおこなうなどの権限を持つ。ところが、特定国立大学法人では、中期目標の原案、中期計画に関する教育研究評議会の審議権は保たれているものの、学長は決定権者ではなくなり、運営方針会議に対して運営方針事項の案を提案する立場となる。新たに決定権者となった運営方針会議は、教育研究評議会の議長でもある学長とは異なり、教育研究評議会の審議結果に配慮することなく決定を下せるようになる。その一方で、運営方針委員は国立大学法人の常勤の役職員とは異なり、運営方針会議が開催されている間の合議にかかわるに過ぎない。そのため、運営方針会議が決定した運営方針事項のせいで大学の研究・教育の自由な展開が妨げられたり、経営が行き詰まったとしても、決定の結果に対して責任を負うことはできない。
このように特定国立大学法人においては、組織運営の実権を運営方針会議が握る一方、個々の運営方針委員は責任を負うことのない、理不尽な体制が出現することになる。
2. 運営方針会議の“毒性”を強める卓越大の認定要件「改正」
国立大学法人の業務は、法人の長である学長の責任の下でおこなわれている。運営方針会議は学長の業務執行を監督する権限を持っているものの、直接に業務を執行する機関ではないはずである。したがって、運営方針会議が監督機関としての権限に見合った責任を果たすには、運営方針会議のメンバー(「運営方針委員」)の人選に関して大学の意思が反映されるようにしたり、一部の委員によって恣意的な決定がおこなわれることのないよう、議決の手続きを適正なものとする必要がある。また、運営方針会議の監督権は、個々の教員の研究・教育の管理、いわゆるマイクロマネジメントに及んではならないことはもとより、研究・教育組織等、大学の意思を反映した組織運営を妨げることもないようにしなければならない。そのためには、運営方針会議の人的構成や運営・議決の手続きを適切なものにできるよう、大学の裁量が認められねばならない。ところが、3月7日のCSTI有識者議員懇談会の資料「国際卓越研究大学に求められるガバナンス体制の方向性について」は、田中氏の期待を真っ向から否定する方向を示した。同資料は、特定国立大学法人のしくみを図示【下図】しながら、ここに「改正国立大学法人法が規定する運営方針会議に係る事項に加えて、国際卓越研究大学の認定要件として合議制の機関(運営方針会議)に求められる事項」(下線は引用者)を以下の3点にわたって書き加えている。
第二に、運営方針会議は、法定の「運営方針事項」に加えて、「体制強化計画の内容を議決し、当該計画に基づいて適切に大学の運営が行われているか監督」するとされる。体制強化計画とは、国際卓越研究大学法(国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律)の定めにより、国際卓越研究大学になろうとする大学の設置者がつくる目標と事業計画等を示す文書である。
法律上、運営方針会議は体制強化計画の決定権を持っていない。そうである以上、国立大学が国際卓越研究大学として認定を受ける場合でも、体制強化計画の決定権は国立大学法人の長である学長にある。ところが、体制強化計画の策定権の実質を運営方針会議に握らせ、これを使って学長を監督させようというのである。
第三に、運営方針会議が「体制強化計画の履行を担保する観点から、学長に求められる知識、経験、能力を明確化し、学長選考・監察会議に対する意見を述べ」、それに対して「学長選考・監察会議は、当該意見の内容を審議し、当該意見への対応についてその理由を付して運営方針会議に報告する体制を構築」するよう求める。体制強化計画に合わせて学長選考の基準をつくらせようとするものである。
これら3点に加えて、ここが最大の問題であるが、資料には「執行部関係構成員のみや学内の構成員のみで議決が成立しないことを担保する仕組み」の「構築」を求めるとある。「仕組み」については、一律ではなく、「特別多数決の導入、執行部以外や学外構成員による賛成を議決の要件とする、構成員の相当程度(例:半数以上)を学外構成員とする」などが例示されている。「学外構成員による賛成を議決の要件とする」というのは学外構成員に「拒否権」を認めるに等しい。さらに、「私立大学において理事会を合議制の機関とする場合に評議員会の議決を得ることを要件とする」とも書かれている。私立大学を国際卓越研究大学に認定する際にも、執行部関係者や学内の構成員のみで議決が成立しないようにさせる方針である。
以上のような内容が国際卓越研究大学の認定要件とされれば、運営方針会議は当該の大学の事情を考慮することなく、国際卓越研究大学の体制強化計画の実質的な策定権を握り、学長を監督することになる。さらに、学長選考に関しても、体制強化計画の履行を見据えた「能力」等が基準とされるようになる。ここに運営方針委員のうち学外者の議決権の強化が加わることにより、国際卓越研究大学の認定を目指す国立大学法人(認定されるとは限らない)は、学外委員に支配される体制が完成する※。大学自治の破壊を決定的なものにする重大な事態である。
「改正法において学長選考・監察会議の存置と運営方針会議の設置が法定されたが、国際卓越研究大学に求められる運営方針会議の機能は、体制強化計画を議決しその履行を監督するとともに、体制強化計画の履行を担保する観点から学長に求められる知識、経験、能力を明確化し、学長選考・監察会議に対して意見を述べることに留まった。これらを踏まえると、合議体に学長の選考・解任の権限を持たせるような制約が課される可能性はなくなったものと考えられる。」
特定国立大学法人においても学長選考・監察会議が存置されている以上、合議体が学長の選考・解任の権限を持たないことは当然である。運営方針会議において学外者が多数を占める体制の中で「学長に求められる知識、経験、能力を明確化し、学長選考・監察会議に対する意見を述べ」るようになったとき、形式的に運営方針会議とは別の組織が学長の選考・解任をおこなう体制が維持されていても、実質的に大学自治が保たれるか、すなわち大学構成員に信任された人物が学長に選ばれるかは危うい。
3. “だまし討ち”の認定要件「改正」
①「運営体制が研究及び研究成果の活用を計画的に推進するために必要なものとして文部科学省令で定める基準に適合していること」(国際卓越研究大学法4条3項5号)。
②「大学の教育研究活動、国内外の大学の経営、大学における国際化の推進、大学の研究成果の活用、大学に関する法律及び会計その他の大学の運営に関連する事項に関し、学識経験又は実務経験を有する者その他の大学の運営に関する多様な知識及び能力を有する者の参画する合議制の機関が設置され、当該合議制の機関が法人代表者の選任及び解任その他の当該申請大学の運営に関する重要事項を議決する権限を有すること」(施行規則2条5号)。
③「法人の長の選任・解任、大学の運営に関する重要事項を決定する権限を有する合議制の機関を有し、大学の教育研究活動、国際研究協力の推進、国内外の大学の経営、国内外の先端的な研究及び研究成果を活用した新事業の創出の動向、大学に関する法律及び会計その他の大学の運営に関連する事項に関し、適切な能力を有する人材がその構成員となっていること」(基本方針2「認定に関する基準」(5)「法第4条第3項第5号及び規則第2条第5項に関する基準」)。
ここには、合議体の構成員について学外者を多くすべきとか、学外者に特別な決定権を持たせるべきとの記述はない。そして、上記の規定に適合しているかの確認、および有識者会議による審査を経て、2023年9月、文部科学大臣は東北大学を最終候補にすることを発表したのである。
特定国立大学法人とされた5法人が国際卓越研究大学の募集に応募したことは事実であるが、東北大学を除く4法人は落選している。文部科学省は2024年度にも国際卓越研究大学の追加募集をおこなうとしているが、4法人がここに応募するかは未定である。国際卓越研究大学になることが決まったわけでもない国立大学法人が運営方針会議を置く必要はないはずである。
ところが、すでに見たように、「改正」国立大学法人法は、政府が政令で指定する特定国立大学法人に運営方針会議の設置を義務づけた。関係の大学にとっても、他の大学にとっても“寝耳に水”の内容である。法案が閣議決定されるまでの間、文部科学省は有識者会議等で国立大学法人法「改正」が必要とされる立法事実に関する審議をおこなっていない。わずかに、政府参考人の国会答弁や参議院文教科学委員会理事会の求めに応じて提出された「公文書」により、文部科学省が2023年6月から8月にかけて、一部の国立大学の学長らに対して「改正」の内容の骨子を示し、意見聴取したことが明かされるのみであり、重大な問題を持つ法案の決定プロセスは依然として闇の中にある。
その上で、さらに運営方針会議の組織構成や権限にかかわる重大な変更を、法案を成立させた後に行おうとしているわけである。
ここで一つ疑問が湧く。2024年の3月になり、文部科学省が運営方針会議のうちの学外委員に特別の議決権を持たせる等の内容を省令改正等により認定要件にしようとしたのはなぜなのか。国際卓越研究大学の選考がおこなわれた後で認定要件を変更することは、現在最終候補となっている東北大学と2024年度以降に応募する大学との間で選考基準を変える、ダブルスタンダードではないか。あるいは、東北大学に対して、募集時には謳っていない「改正」後の選考基準を適用し、それに合わせて体制強化計画の内容等を変更させるつもりであるとしたら、それはそれで後出しジャンケンのような不公正な手続きではないのか。
現時点では、CSTI有識者懇談会は議事録を公表していないため、認定要件「改正」に向けて動き出した経緯を知ることはできない(大学に「客観性」を求めるのであれば、公的機関であるCSTIはなおのこと詳細な議事録を公表すべきである)。盛山文部科学大臣は3月8日の記者会見において記者から理由を問われ、「体制強化計画を議決し、その履行状況を監督する際に、多様な知識及び能力を有する者の参画を得ることが必要である」と述べている。政府内の誰かが、「体制強化計画の議決と履行状況の監督を学内者主導でやらせるわけにはいかない」と言い出したようである。
さかのぼれば、文部科学省およびCSTIは国際卓越研究大学の構想を示した文書において、認定要件に関して次のように述べていた。
「合議体における意思決定は、経営や教育研究、国際展開の専門性を持つ者の識見を活用し、執行と監督の緊張関係を確保する観点から、合議体の構成員のうち相当程度(例えば過半数、半数以上等)は学外の人材とし、構成員は、その権限に応じた責任を有するとともに、構成員の選考については、執行に関する監督機能を強化するという合議体のミッションを体現する形で行われるべきである」(世界と伍する研究大学の実現に向けた制度改正等のための検討会議「制度改正に向けた論点整理」2021年12月24日)。
「合議体の構成員は学内外同数の者による選考組織において行い、合議体の構成員の相当程度(例えば過半数、半数以上等)は学外者とすることが適当」(CSTI「最終まとめ」2022年2月1日)。
2023年の国立大学法人法「改正」により、いわば「だまし討ち」のようなかたちで政府は運営方針会議を置く国立大学法人を指定するに至った。これでも飽き足りず、今度は国際卓越研究大学の認定要件を悪用し、法律が定めていない運営方針会議の人的構成や議決方式を特定国立大学法人に押しつけようとしている。何者かが、国立大学法人法「改正」だけでは国際卓越研究大学のしくみ(「大学」の名称を冠しているが、これは補助金事業である)を用いてさせようと考えていた大規模な国立大学の改革=「稼げる大学」への変革が不徹底に終わると考え、圧力をかけているのではないかと疑わざるをえない。
こうした強引な手法で一貫して追及されているのは、学外者による大学支配である。この点で運営方針会議は学長の監督機関に止まらないことに留意する必要がある。
2021年の通常国会で成立した国立大学法人法「改正」により、従来の学長選考会議を学長選考・監察会議として学長への監督機能を強化するとともに、文科大臣の任命する監事に対して「学長に不正行為や法令違反等がある」と判断した時に学長選考・監察会議に報告する権限を与えた(「国立大学法人法の一部を改正する法律案(概要)」)。この時には学長選考・監察会議は学長を監督する機関である以上、学長はその委員となれないものとされた。ところが、2023年の臨時国会で強行採決した国立大学法人法「改正」では、学長自身も学長の監督機関たる運営方針会議の構成員としている。しかも、運営方針会議に中期計画や体制強化計画の決定権まで委ねるとしている。すなわち、運営方針会議に学長への監督機能ばかりか、執行機能も付与するとしている。その上で、さらに運営方針会議の中で学外委員に「拒否権」を持たせるのは、学外委員による独裁の可能な仕組みをつくることにほかならない。
4. 「稼げる大学」との訣別を
運営方針会議の学外委員が多数を占め、体制強化計画の策定権を握り、学長の業務執行を常時監督するようになれば、大学は組織運営の自律性を失ってしまう。そして、自由な学問を創造することや批判的な市民を育成することもできなくなる。形の上では続いていても、もはや大学と呼べるのか疑わしい存在となる。政府与党は、この新たな方針を直ちに撤回すべきである。
大学関係者は、政府与党の方針への追随を断ち切り、果たして、「改正」国立大学法人法に盛られた“毒”をさらに強めることを求める国際卓越研究大学に応募するのが賢明なことなのか、再考すべきである。「稼げる大学」となることは、社会との多様な交流の回路を狭め、大学を政治経済的な権力を持つ特定の層にのみ奉仕する機関にしてしまうのではないか。とりわけ、現在、国際卓越研究大学への応募を検討している大学の構成員は立ち止まり、問い直すべきである。そして、「稼げる大学」とは違った道筋により研究・教育を発展させ、社会を豊かにしようと努力している国内外の大学、研究者、市民社会との共同という、もう一つの道に踏み出してほしい。
コメント
コメントを投稿